草津の嫗仙ノ滝と言う所に渓流魚がいるか気になってたので、きついトレッキングコースでは有りますが向いました。
入り口には「クマ出没注意」の看板と共に「発砲注意!」「クマが出たら騒がずにそっと離れるように」「この缶を叩いてから進んで下さい」と言った物騒な看板ばかり。
ここまで見れば普通の人は気が変わって先に進もうとしないが、「そんな所ならばめったに人が入らずに釣り人にとってパラダイスに違いない」と期待を膨らませてしまう悲しい釣りキチの性。
先ずは備え付けの醤油缶を思い切り叩いてみる。たちまち「ギャッギャッ!」「チチチ!」「ピーピー!」「ウオーグオー!」と聞こえてくる。まてよ?最後の泣き声は何だ?次男坊と目を合わせもう一度叩いて見る。「ウオーグオー!」・・・
それからと言うものの息子は醤油缶、私は鈴を思いっきり鳴らしながらパチンコ屋の開店日のチンドンヤさんのような騒ぎで先に進んだ。先の見通せないカーブでは怒涛のような騒ぎである。
嫗仙ノ滝の有る小雨川に着いて釣りを始めたが、たいした時間もかからずにこの川に魚が棲めないと分かった。水質が悪いのだ。
釣りを止めて振り向くとカップル一組とお年寄り5人が到着。人が他にいると言う事がこんなに頼もしいとは!帰りはお年寄りグループと一緒だった。
到着するまでにクマよけの為に叩く醤油缶が三箇所、その一つをおじいさんが涼しい顔で「コン」と叩く。そうだ、それで良かったんだ。クマの聴覚には十分な効果なのだ。
それを手に持って叩き続けた自分達が恥ずかしくなる。顔を赤らめた息子が一言つぶやいた。「この道には当~分!クマは出て来ないだろうな~」